ETIC.横浜

インタビュー

2012.12.14

地元を離れて横浜でインターンに挑戦した半年間。働くことの楽しさを知った。

森田さんは、高知大学のCBI(Collaboration Based Internship)※というプログラムを活用し、大学2年次の前期、横浜へ移り住み、伊勢佐木町の「横濱いせぶらカフェ」で半年間インターンをしました。人生で初めて高知を出て、一人で就業経験を積むことで、将来に向けて見えてきたこと、得たものを伺いました。【高知大学2年/森田あずささん】

※CBI:「自律型人材」(組織の目的を理解し、自ら考え行動が出来る人材)の育成を目的にした、高知大学オリジナルの長期社会協働インターンシッププログラムの名称。1年生3月~2年生9月までの6か月間、首都圏内のETIC.がコーディネートする企業にて長期インターンシップへ参加する。

-なぜCBIに参加し、半年間横浜でインターンに挑戦しようと考えたのでしょうか?きっかけを教えて下さい。

高知大学には学校推薦で入学しました。面接を受ける必要があったので、学校パンフレットを熟読し、そのときに高知大学にCBIというプログラムがあることを知りました。ずっと高知で過ごしてきたので、大学では県外に出て様々な経験を積みたいと思い、入学前からこのプログラムに関心を持っていたのです。

ただ入学してみると、周囲に本命の学校を落ちて入学してきた生徒も多く、なんとなくやる気のないムードに流され無気力に過ごして時間が過ぎていってしまっていました。

その中で、CBIの事前学習で東京に出てきて、東京と横浜の経営者の方にお会いする機会がありました。そこで魅力的な経営者の方々のお話を聞かせて頂き、刺激をたくさん受け「自分でお金を貯めてでも、行く価値が絶対にある」と思いました。今までの無気力な生活を変えるチャンスだと思いました。

特に、その時にお会いした経営者の方が「仕方ないと思って働き続けるのはツライ。やりたいと思うことを仕事にしていけばいい」とおっしゃっていたのが印象的でした。私は両親が共働きだったので、親の忙しい背中を見て育ち、「仕事とは生活に必要なもの」というイメージが強くありました。でももしかしたら、仕事はもっと楽しいものなのかもしれない。両親もやりがいを感じながら働いていたのかもしれない。もっと働くということを理解したいという気持ちが湧いてきたというのも、インターンに挑戦したいと強く思った理由の一つです。

東京と横浜の企業が選択肢としてある中で、横浜を選んだのは都会の中にも、どこか高知と重なる部分があったからです。地域で顔の見える関係の中で仕事をしているところがとても居心地がよく、また高知に帰ってからも地元で何か得たものを役立てることができるかもしれないと思いました。

―森田さんがインターン先として選んだのは、伊勢佐木町で国産健康茶の販売をしている横濱いせぶらカフェさんでしたね。インターン先では、どのようなことを経験したのですか?

私は、元々雑貨が大好きで、将来も雑貨屋さんをはじめたいと思っていたので小売りの事業の流れを勉強したいと思っていました。そのため、伊勢佐木町で国産健康茶の販売をしている横濱いせぶらカフェさんインターンをさせて頂くことになりました。

横濱いせぶらカフェは、2年後に実店舗をオープンするために、今はオンラインショップでごぼう茶などの健康茶を販売しています。

商品の企画や健康茶を使ったイベント企画をしようと入ったのですが、はじめの3か月はお茶の出荷業務で手一杯でした。毎日出荷ばかりをする中で、「どうして横浜まで来てこんなことをしているんだろう。誰でもできる仕事ばかりだ」と悩みながら仕事をしていました。自分には、ECサイトのデザインなどの専門性もなく、貢献で来ている実感が持てなかったのです。しかし、川井代表をはじめ社員の方々とお話しする中で、事業の全体像や目標が理解できるようになり、自分の担っている仕事も事業に貢献できているということを実感することができるようになったことで、目の前の仕事もやりがいを持ってできるようになっていきました。

インターンの後半では、自分の企画した商品を売るということや、商品在庫管理の仕組みを作ったり、年間販売計画を作成したりしていきました。自分で責任を持って仕事を進めることが少しずつできるようになって、言われたことをこなすのではなく、自分で考え、やるべきことを見つけて動いていくことが、仕事をするということなのだということが分かってきました。自分ができないことは周りに頼めばいい。頼むために自分の考えを伝えたり、その人をフォローしたり、周りの人が動きやすいように考えることが大事なのだと思うようになりました。また、周囲の人と一緒に働くには、自分の発言に責任を持つことが大切なのだということも身を持って感じました。横濱いせぶらカフェのみなさんはもちろん、インターンを通じて横浜で働く様々な人に出会ってきましたが、インターン前に思っていた「仕方なく生活のために働く」というスタンスで働いている人はいませんでした。働くことの楽しさを実感することができたのも、このインターンで得た大きな気づきです。

―インターンを終えて、将来の目標に何か変化はありましたか?

以前から変わらず、雑貨には関心を持っています。しかし、インターンで商品をつくり、売るという経験をさせてもらい、デザインやプロモーションに関心を持つようになりました。地域では、その土地を元気にする商品づくりが盛んに行われているものの、なかなか思うように売れていないことも多いです。それは、その商品を生かしたパッケージや情報発信が足りていないのかもしれないと感じるようになりました。そのため、地域の良い商品をきちんと伝えるためのデザインや、情報発信のお手伝いをするような仕事が将来できたらいいなと今は考えています。

横浜でインターンをしてみて、都会で働く楽しさも経験しました。やはり地方よりも選択肢や可能性がたくさんあると思います。そのため、将来どこをフィールドに自分が働くのが良いかは、逆に少し迷いはじめています。

ただ今は、大学に戻り、まずは自分に足りないと感じた理論の部分をしっかり身につけたいです。大学に戻ってきて、学べる機会のあることのありがたみを感じると共に、実地での経験と理論を学ぶことの両輪が大切だということに気が付きました。しっかり勉強して、将来への準備をしていきたいと思います。

―最後に森田さんにとって横浜とはどんな場所でしたか?

都会です(笑)でも、みなさん周りの方々が横浜を愛していて、「横浜のために」と考えている部分は高知と同じ、“地域”なのだと感じました。インターンを通して、横浜の様々な人とお会いできて、とても勉強になりました。
―はじめは、親の背中を見て「働く」ことを自分も経験して知ってみたいとインターン先に飛び込んだ森田さんでしたが、半年後には、職場で自ら商品や業務改善策などを積極的に提案し、それを成し遂げるまでの成長を遂げ、今も尚、彼女の挑戦は続いています。これから森田さんが高知で、または横浜や他の都市で活躍する姿が見られる日が来るのがとても楽しみです。森田さん、ありがとうございました。