インタビュー
2014.04.22
【ミニ白書】シェアハウスが社会課題解決手法となる可能性
1.はじめに
① なぜ人々は互いに干渉し合わない生活を求めるのに、他人と共に暮らす生活「シェアハウス」を求めるのだろうか?
今の地域社会では、人とのつながりや地域、社会とのかかわり方が希薄となってきたと言われている。平成25年度横浜市民意識調査では、隣近所との付き合いについて、約6割の人は「顔も良く知らない」「挨拶ぐらいはする」と付き合いは薄い。また、その付き合いを「互いに干渉し合わずにさばさばして暮らしやすい」と感じている人が6割以上であり、「人間関係が薄く、皆がばらばらな感じでさびしい」とする人は2割以下に留まっている。つまり、多くの人が互いに干渉し合わない生活を求めているといえる。
しかし、学生寮や社員寮のように所属コミュニティに起因する強制的な居住ではないにも関わらず、他人と共に暮らすシェアハウスを選択している若者が増えている。更には、不動産側の意思に沿って提供されるだけでなく、入居者の価値やニーズに合わせて提供されるような変化も現れてきている。
地域社会では人間関係が希薄になってきている中で、他人と共に暮らすシェアハウスが選択され、増加しているのであれば、その背景や要因は何だろうか。シェアハウスが、個人にどのような価値を生み出しているのか。そして、今後の社会課題の解決手法の可能性を秘めているという点に期待しながら、このミニ白書を読んでいただけると幸いである。
2.概要
①他人と共に暮らす 住まい、シェアハウスとは?
住まいを「他人とシェアする」住居といっても、その形態や定義は様々である。学生寮や社員寮など組織が設置するものから、社会福祉政策としての母子寮、児童養護施設、救護施設など、特定の人を対象としたグループホーム。また、一住戸に少人数の他人と共に住むシェアルームやシェアハウスから、独立した専用の住居と他人との共用スペース(キッチン、レクリエーション施設、保育室等)を持つソーシャルアパートメントやコレクティブハウスなどもある。
ここでは「他人とシェアする」住居のひとつである「シェアハウス」を取り上げる。一つの住居に複数の人がそれぞれのプライベート個室をもち、キッチン、リビング、浴室、ランドリールーム、トイレ等の設備を入居者が共同で使用する住居のこと基本とする。必要最低家具(テレビ、冷蔵庫、エアコン、ベッド、電子レンジ、洗濯機など)は揃っていて利用できることが多いことから、便利で効率的な「気軽な賃貸」ということがいえる。
②他人とシェアする住居は、どのような歴史を辿ってきたのだろうか?
シェアハウスのように個人が他人とシェアする住居について、少しだけ歴史を遡りたい。約400年前の江戸時代まで遡ると、大都市の江戸で低賃料の長屋が大量供給されている。それは、井戸・便所を共同で使用する水まわり一体型、大通りに対して垂直にのびる路地を基本とした10戸1棟が壁を隔てて連なる住居であり、主たる居住者は個人町人達の集まりであった。その後、明治期に入り、地方からの中流階級の所得者層の流入者を受入れる基盤となり、明治30年後半には2階建ての長屋も造られている。その後、地方からの出稼ぎ者も急増し、住環境よりも安さを求めた、日掛けでの支払いが可能な木賃(きちん)宿と呼ばれる長屋が多数建設さている。
やがて、大正期に入ると欧米意識が庶民にまで浸透し始め、昭和初期には、都会生活をハイカラに楽しむ単身高所得者層に向けたコンクリート造りのアパート群が建設されている。現代のシェアハウスの形態に近く、8階建てに個人のスペースとして8畳程度の個人の部屋を確保しつつも、トイレや風呂などは共有であり、食堂やリビングを1階に備えていた。当時の長屋が水まわりを独立して持とうとしていたのに反した流れをいき、それは、その時代の個人がサロンに集うという意識を重視した、近代日本を担う人々のために高品質な暮らしを提供したものであり、現代のシェアハウスを求める人々と共通するものがある。
しかし、戦後は急激な好景気により、地方から都市へ就職・出稼ぎに伴う人口流入により、住宅難は深刻であり、暮らしの質よりも量で、安い木賃アパートが大量に出回った。これまでの木賃アパートは、都市に働きに出てきた「大人」が自活する住居だったのに対し、1970年代高度経済成長期以降、都心部へ就職・就業のため流入する若者世代が増え、賃貸ワンルームマンションが登場し、仕送りを受けながら生活する「子ども」の住まいとなった。
一方で、1980年代、来日した外国人が異国日本の地で暮らすため、活発な情報交換や交流の場としての共有空間のある住まい「外人ハウス」を新しい感覚で住みこなしていった。これが、現在のシェアハウスに到る原型であると言われている。2000年以降は大都市圏の家賃高騰し、親元から独立して都市に住まいを求めるとき、低い年収における住宅費比率の高さ、居住スペースの狭さから、次第に普及されていったシェアハウスに暮らしの質を求めるようになった。今、都市での暮らしをより楽しもうとする若い世代が、賃貸住宅をシェアハウスという形態で住みこなそうとしている。
③近年、シェアハウスは増えているのだろうか?
シェアハウスの物件数は近年急激に増えている。2005年は89件であったが、2007年には429件まで増え、2013年8月現在では全国に2,744件の物件がある。そのうち4分の3にあたる2057件が東京都内、特に23区内に集中しており、次いで、神奈川県内に244件、埼玉県129件である。地方都市では、近年少しずつ増えているといった状況である。
シェアハウスの物件数が急激に増加した背景には、マスコミやメディア等で取り上げられることが多くなったことから、「シェアハウス」という言葉が若い世代に浸透し、投資効果の高い不動産業として、個人、大手不動産、投資会社、投資家など新規に参入する事業者が増加したことに起因している。尚、その事業の参入の動機を探ったレポートによると、新規事業としての投資等の目的(52.4%)に加え、空物件の有効利用(36.6%)、そして、興味深いことに、社会貢献を挙げている事業者が25.4%にものぼることである。
一方で、若い世代の低い年収における住宅費比率の高さと、居住スペースの狭さ、大都市圏の家賃高騰がシェアハウスを後押しした要因の一つでもある。また、海外での留学や海外旅行を経験する若者が増え、海外居住でのホームステイやシェアハウス、または、学生寮が選択されることが多く、シェアハウスへの拒否感を和らげることになったことも一因だろう。ひつじインキュベーション・スクエアの調べでは、シェアハウスの64%がシェア住居経験者であり、そのうちの約半数の44%が海外でのシェアだと答えている。つまり、新たな借り手である若い世代が、賃貸住居に様々な選択肢を求めるようになったことで、シェアハウスのニーズは高まったといえる。
3.シェアハウスの価値
①シェアハウスの入居者が求める価値とは?
シェアハウスのメリットとして、まず想像されるのが経済的利点である。賃貸住宅より安価であり、敷金・礼金・保証人制度がないところや契約期間の制限が厳しくないこと、さらには生活に最低限必要な家具・家電は備え付けの物件があることが多いため、気軽に住めると住居と言えよう。そして、一人ぼっちの孤独感からの解放とセキュリティ上の安心感があるだろう。
しかし、経済的利点は希薄になってきている。近年急増しているシェアハウスの賃料水準は決して安くはない。周辺のワンルーム賃貸の水準を上回っても高稼働を実現する事例は数多くあり、礼金や保証金を請求するシェアハウスも多く見られる。つまり、シェアハウスに住む人は、経済的な理由以外にシェアハウスを利用する価値を見出していると考えられる。
『他人と暮らす若者たち』でシェアハウスという言葉を世の中に広めた久保田裕之氏によれば、シェアハウスとは「第三の暮らし方」である。家族や恋人と暮らすのではない、一人で暮らすのでもない、血のつながらない赤の他人と共同生活を送ることは、分類できない「第三の暮らし方」として絶妙なバランスが取られているという。常に誰かがいる場所なため一人で暮らすほど孤独でないが、家族ほど干渉されることもない。広い空間に他人と住む、そこで生まれるコミュニティを重視し、個人は独立しながらも選択した人々とのつながりに重きをおく。新たなつながりのあり方を現代の人々が求めているからこそ、今、シェアハウスが普及しているのだろう。
それは、日本シェアハウス・ゲストハウス連盟会員が運営するシェアハウスに概ね1ヶ月以上入居している入居者に行った次のアンケート調査結果でも表れている。
入居理由として、「初期費用が安い」「家具・家電付き」よりも「他人と暮らす楽しさや安心感」「外国人や経歴の異なる人々との交流」「友達作り」が高く、入居者間の交流を期待して選択している傾向がみられ、それらにおける満足度が高い結果もでている。
そして、入居者にとって同居している入居者の存在は、「友人」が3割以上を占め、「家族ほどではないが、普通の友人よりは親しい存在」「家族と同様の存在」と合わせると、7割近くの回答者が、入居者と友人以上の関係を構築している様子がうかがえる。つまり、他人とシェアする暮らしによる親密な人間関係の構築がシェアハウスの魅力であると言えるだろう。
そして、運営会社も入居者のニーズに応えるために、入居者同士が自然な接触を楽しむ事を設備、運営を積極的に追求している。
②シェアハウスに暮らす入居者はどのような人だろう?
現代シェアハウスの需要を支えているのは、圧倒的に単身社会人である。世代は、20代後半〜30代前半が過半数を占め、収入は年収300万円程度を軸に幅広く分布する。
シェアハウス大手会社ひつじ不動産の入居者層構成では、3 年間で20 代前半層が9%縮小し、30〜40 代層が合計で8%拡大しまし、平均年齢は2012年には28.9歳となっている。正社員が拡大し非正規雇用と逆転したほか、学生の割合も縮小傾向です。女性に人気が高い傾向も継続しているが、男女比の大きな偏りについては女性専用物件が多いという要因もある。
ひつじ不動産は調査結果より、特に30〜40代層の拡大から、「多忙な日々をおくる中、限られた余暇の充足感を高めたい」という意識を感じており、そのようなニーズに応えた、ゆったりとした暮らし方を楽しむシェアハウスも人気があるという。
③社会課題解決手法となる可能性のあるシェアハウスとは?
入居者が新たなつながりを求めている中で、シェアハウスでの「コミュニティ」がある特定の入居者に好影響を生み出し、社会課題の解決手法の一つとして効果を上げているケースも生まれてきている。ここでは、3つのケース「シングルマザー用のシェアハウス」「障害者用のシェアハウス」「学生用のシェアハウス」を調査した。そして、今後のシェアハウスの可能性における大きなヒントが隠されていると感じる。
ケース1:【ペアレンティングホーム】
~シングルマザーの住環境を整え、子育てと仕事が楽しく両立を実現する~
シングルマザーが増加しつつある今、経済状況、生活条件、環境等の実態は様々であり、シングルマザーが抱える多様な課題に対応する支援が必要となる。しかし、経済的には不利でありながら、福祉依存度は低いシングルマザーが多数派であり、育児を含めた時間の余裕、生活や精神面のサポートを得られる身近なつながり、子どもにとってより良好な家庭環境が重要だと考え、ひとりで仕事と育児を担う負担感を軽減し、楽しく両立できるようシングルマザー用のシェアハウス「ペアレンティングホーム」はつくられている。
運営チーム
「ペアレンティングホーム」は、企画運営するにあたり、建築、保育、シェアハウス、土地デザインの専門家がチームとなってプロジェクトを遂行していることが特徴である。建築を通して社会貢献をしたいと考えていた建築士、長年子育て事業に従事している保育園の経営者、人とのつながりとともに暮らす豊かさシェアハウス事業者、土地家屋調査士で地域の課題解決を考えるランドデザイナーの4名である。
提供する価値
入居者へのインタビューから「ひとりで育てるプレッシャーや罪悪感がある中、シェアハウスに入居して、想像以上に相談し合い、支え合える仲間がいることの心強さを感じています。」という声が聞かれた。ペアレンティングホームの価値は、提供する保育サービスによりシングルマザーに時間と心のゆとりを生みだしていること、また、同居者のつながりにより生活や精神面のサポートを互いに得られること、そして、子どもにとっても共育てや保育支援により良好な家庭環境が創造されていることである。このように住環境に加え、包括的にサポートできている点が重要である 。
ケース2:【ぱれっとの家 いこっと】
~障害のある人もない人も安心して暮らせる家をつくる~
現在、知的障害者の8割以上が、主に親の介助・支援を受けながら自宅で暮らし、グループホームやケアホームなどの入所施設で暮らしている人もいるが、親や施設から自立して生活している人はごく少数である。しかし、障害が軽度で親や施設から自立した生活が十分可能な人も多い。障害があってもあたり前の生活ができる社会で、自立に向けた暮らしの選択肢を増やすために、特定非営利活動法人ぱれっとにより「いこっと」はつくられている。
運営チーム
特定非営利活動法人ぱれっとは、東京都恵比寿で知的障害者の就労・余暇・生活の支援を30年以上行っている。ぱれっとの「障害のない人もある人も一緒に家族のように暮らせる家」という構想を、2009年より企業との協働事業という形でスタートした。前例のない新たな住まいをつくるために、職員だけでなく、障害者本人と親、ボランティア、入居希望者、建築家なども交え、1年3ヶ月を費やし、会議・ワークショップを丁寧に行い、目的・イメージ・設計等、全プロセスにおいて意見交換をして進められた。完成後も第三者として運営委員会(ボランティア組織)が携わっているのが特徴である。
提供する価値
「今までは家と職場の往復でしかなかった知的障害者の生活環境が、いこっとで他人と共に暮らしながら信頼関係を築く中で、様々な経験が自信につながり、世界観が広がっていきます。入居者が、生きいきと自立に向けて頑張る姿を感じるたびに、いこっとの意義を実感します。」と、えびす・ぱれっとホーム施設長の菅原睦子さんより伺った。
入居者石橋美帆さんは「自分の居場所をいこっとで見つけた。いこっとで暮らし、色々な人達と出会い、色々な考え方があることを知り、自分の考えをもつことができた。楽しみや悲しみを知り、安心できる場所を見つけ、今まで出会った人達の応援を受けて、自分の人生がスタートしたと感じている。」と言う。
ケース3【チェルシーハウス】
~本気で大学生活を充実させたい学生が集まる学生寮~
大学生のポテンシャルはもっと高いはずなのに十分にそれが引き出されていない。学校教育以外に学生が成長のチャンスを掴むには、自己研鑚を支える環境が必要であり、共同生活を通じて互いに刺激を与え合うことが重要である。「学生の成長の最大化」を第一の目的として「チェルシーハウス」はつくられている。
運営チーム
運営には、2009年から大学の教育力向上を支援してきたNPO法人NEWVERY、学生寮の仲介・斡旋事業を長年手掛けてきた株式会社ネストレストが携わっている。また、学生生活をサポートするメンター16名がつき、教育付加価値に責任を負うキュレーター1名を置く。
提供する価値
共同生活を通じて互いに刺激を与え合うことを考えられた共有スペースの設計や、入居者のグループ組織化(8人グループ(男4:女4)、そして、各グループに2名の社会人がメンターとして就く。メンターは、各分野で活躍する広告代理店、外資系証券会社、クリエーター、社会人類学者などで、月1回交流の場を設けるという特徴がある。また、同じ建物内に併設するゲストルームに全国から意欲的な学生が集い寮生との親交を深め、情報と人のハブになることを目指す。入居希望者も、他学生同士との交流に加えて、メンター等の外部者が関わる空間と環境に魅力を感じ、充実させたいと希望している。
④シェアハウス事例から示唆されることは?
シェアハウスは、様々な要因により住まいの選択肢が妨げられている人にとって、新たな一つの住まい方となっている。ここで挙げた3つのシェアハウスは、社会的課題の解決手法の可能性があり、その在り方には重要な点が示唆されている。
まず一つが、入居者間のコミュニティも重要である。様々な要因により住まいの選択肢が妨げられている人にとって、シェアハウスは入居者の生活感、価値観、向上心を高める結果につながっていることが明らかである。そのためには、入居者間のコミュニティを意識して入居希望者に対し選抜を行うなど、意図的に創造する必要がある。また、そのコミュニティに対して、専門家や運営者等が第三者として何らかの形で関与していくことが、摩擦やトラブルを防ぐ上で重要な役割を果たしている。
また、運営に各分野における専門家が存在し、携わっていることである。ある特定のコミュニティを対象とした場合、専門家のノウハウや知恵が企画・運営により、対象入居者に真の意味で適した環境が提供される。また、専門家がいることで、入居以前から入居者本人を含め、周囲の方への理解促進や安心感を与えることができており、それは稼働率の高さにも表れる。
シェアハウス事業は投資効果が高いというイメージから新規参入事業者が増えた一方で、閉鎖する物件が多いのもの実情である。しかし、3つのシェアハウスのケースより、シェアハウスを運営する上で、入居者間のコミュニティを重要と捉え、専門家が携わることで、社会課題の深刻化を防ぐ予防解決の手法ともなりうる可能性がある。
4.シェアハウスの未来
① シェアハウスに対する新たな法制度とは?
現在、シェアハウス業界では、新たな法制度の問題を抱えている。2013年9月、国土交通省は「シェアハウス(事業者が入居者の募集を行い、自ら管理する建築物の全部または一部に複数の者を居住させているケース)について建築基準法上の「寄宿舎」の基準を適用して指導するよう要請を行った。
「寄宿舎」の基準では、通常の住宅では求められない間仕切り壁の耐火性確保が必要になる。また、廊下幅、避難階段、非常用照明などに関する規定もある。さらに、東京都建築安全条例の規定では、火災時の避難路となる「窓先空地」(火災時に各室の窓から器具などを使って避難できるよう窓下の敷地内に数メートル幅の空き地を設けること)を義務づけている。しかし、都心部の住宅は隣家と密接して建っていることが多く、窓先空地のない物件をシェアハウスとして使用し続けようとすれば全面的に建て替えるしかない。
現存するシェアハウスのうち約8割の2000棟以上が戸建て住宅を再利用したものであり、建築基準法や都条例に照らせば「不適合」となる可能性が高い。残りも大半が事務所やマンションの一室を改修したもので、元々が「寄宿舎扱い」というケースはごく一部に限られてしまう。シェアハウスが新たな住まいの可能性をもつ今、安全性を確保した上での規制緩和を求める動きも出て来ている。
②今後の社会に対するシェアハウスの可能性とは?
人間関係が希薄になってきたと言われている今の地域社会では、近隣との付き合いがない暮らし方では、孤独死も起こりうる生活環境にある。また、個人が抱える課題も多様化・複雑化しており、解決するには包括的に支援する必要が求められている。広い空間に他人と居住する、そこで生まれるコミュニティを重視し、個人は独立しながらも選択した人々とのつながりに重きをおく。シェアハウスは、今後もそのようなニーズに応えるひとつの居住形態として拡大されてゆくのは間違いないだろう。そして、様々な要因により住まいの選択肢が妨げられている人にとっても、入居者の住環境を改善するだけでなく、多様な価値を生み出すだろう。
本レポートでは明記していないが、全国的に問題となっている空き家物件についても、シェアハウスは有効的な活用方法として注目されている。しかし、シェアハウス業界では法制度の問題が解決しないと、新たなシェアハウスの運営は難しい。
シェアハウスは入居者の社会背景や課題を踏まえ運営されることで、住まいや暮らしを楽しくさせ、社会課題の深刻化を防ぐ予防解決の手法の一つとして、これからの私たちの社会に大きな可能性を与えてくれるだろう。
参考文献
・日本シェアハウス・ゲストハウス連盟 株式会社シェアシェア(2014)『シェアハウス市場調査2013年度版』
・ひつじインキュベーション・スクエア (2008)『シェア住居白書2008』
・ひつじインキュベーション・スクエア (2013)『シェア住居市場統計データ』
・リクルート住まい研究所(2010)『賃貸住宅生活実態調査』
・雑誌『ともしび』(2013)特集「地域に暮らす新たな挑戦」
・国土交通省「違法貸しルーム対策に関する通知(H25.9.6)」