ETIC.横浜

事務局ブログ

2011.11.25

ねじ屋さんの挑戦

こんにちは、横浜社会起業応援プロジェクト事務局の腰塚志乃です。
そろそろ町がクリスマス色に染まってきましたね。
今年もあと少し。大切に過ごしていけたらと思う今日この頃です。

さて、11/21に「第5回横浜売れるモノづくり研究会セミナー」にお邪魔してきました。
こちらは、㈱ともクリエーションズさまが事務局をされ、横浜の製造業を担う
経営者の方々を中心にお集まりになっているセミナーです。

 

そこでの㈱由紀精密の大坪常務のお話がとてもおもしろかったのでご紹介しますね。
大坪常務は、30代とお若く、ものごし柔らかでとても穏やかな方でしたよ。

 

由紀精密さんは、茅ヶ崎にある創業60年のねじ屋さんです。
ただ、他の町工場とはちょっと違う。
近年大きく事業が変化し、新分野に次々に進出していらっしゃいます。

印象的だったのは、「世の中から機械が減ってきている」という言葉。
iPHONEやSUICAなどセンサー技術が進み、電子機器の形が変化しています。
確かに、そう言われてみると思い当たるところはたくさんありますよね。

例えば公衆電話や、改札機など、昔の機械にはボタンやバネ、ネジ等
たくさんの部品があり、その一つひとつを町工場の技術が支えていたのです。
由紀精密さんも、少し前まで緑の公衆電話の部品が大きな稼ぎ頭だったそうです。

機械が街から少なくなる中で、大坪常務は新しい分野への挑戦の必要性を感じ、
「この先もなくならず、自社の技術力を生かせるモノはなにか?」を考え、
まったく実績のない航空業界へ挑戦することを決めました。

その挑戦方法は、とにかく航空系の展示会に出展すること。
実績はなくても、技術力には自信がある。
まずは会社の存在を航空業界のお客様に知ってほしい、ということで
日本やパリなどの展示会で、数ある業界老舗メーカーに交じり、
自分たちにできることを発信していく。
実績のない中で、このようなアクションを取るのは憚られるし、
費用もかかるので社内でも反対されてしまいがちです。
しかし、それをやるのが、この大坪常務の魅力なのだと思います。

特に海外では日本メーカーというブランドもあり、興味を持って下さる
企業も出てきて、受注につながっていったとのこと。
信じられない!

失敗を恐れず、自分のありたい姿を目指し突き進み、
今ではボーイング社の一部の飛行機の部品でシェア100%を
占めるまでに至っているそうです。
由紀精密さんが航空業界に進出しはじめたのは、なんと4年前の話。
破竹の勢いで、思いを実現されていらっしゃいます。

 

そして、もう一つ新しい試みとして始まっているのが
BRANCH」というプロジェクト。
デザイナーと町工場とのコラボによる商品開発プロジェクトです。

デザイナーさんは自分の商品を作ってくれるところがない。
町工場は、高価な端材や空いている機械を活かしたい。
お互い、得意分野を持ち寄って商品を作ったら、
無理なく作れて、スタイリッシュで上等な商品にあるのではないか。
そんな発想から生まれたプロジェクトです。

実際に、由紀精密さんの高度な金属切削加工を生かし
空いてるワインボトルにカメラをマウントできる「TIPSY
などが生まれました。

なぜB to Bの由紀精密さんが、こんな商品を作るのか?
それは、楽しいから。

そう聞くと、肩の力が抜けてしまうかもしれませんが、
お客様に直接届けられるB to Cの商品を生み出し、届けることで
社員のモチベーションがぐっと上がるのだそうです。
それが仕事を楽しむことや、豊かな発想力につながっていきます。

また、もう一つは空いている機械の活用。
少しでも動かせればという工夫でもあります。

そのため、これで儲ける訳ではない、無理して大量生産しない
というのがポリシーです。
遊び心を形にできるのは、メーカーの特権ですね。

ただ、実はこのBRANCHの商品、とても好評で東急ハンズでも
取扱いを頂いているとか。
遊び心も、きちんと成果につなげてしまうところも素敵です。

 

まだまだ、たくさん楽しいお話は続いたのですが、
今日はここまでにします。

会社を成長させるための攻めの姿勢と、社員の方々と一緒に
仕事を楽しむ姿勢、どちらも見習うところがあふれていました。
会場の参加者のみなさまも、大坪常務の話に引き込まれており
あっという間の時間でした。